△Natua♪▽のひとりごとブログ

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【JR営業規則】大阪近郊区間で途中下車したい!新幹線と選択乗車

※この記事は「なちゅあ Advent Calendar 2023」の投稿記事です。※

 

どうも、△Natua♪▽です。

音ゲーメインのアドカレですが、1つくらい鉄道関連を入れたかったので。

 

大阪近郊区間内で完結しそうな乗車券を少し工夫して、途中下車可能にしてやろうという記事です。

なおこの記事で紹介する手法はすでに広く知られており、wikipediaにも記述があったりたくさんのページで紹介されています。新しいものではないですが、自分の脳内を整理する意味も込めて記事を書きます。

 

 

旅客営業規則(運送約款)はJR西のものを引用しています。いきなり第n条って言ったときはこの約款を指します。

あと私は法学部とかじゃないので、用語が適切じゃなかったりしたらすんません。

 

1. 途中下車の定義と可能条件

途中下車は第156条で定められます。

(途中下車)
第156条

旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅(中略)以外の駅に下車して出場した後、再び列車に乗り継いで旅行することができる。

ただし、次の各号に定める駅を除く。…

つまり、A駅-B駅-C駅という路線で、A→Cの乗車券を持った旅客は、B駅で一旦改札を出ても大丈夫だよ~ってことです。

途中下車制度、案外知られてないですね。

 

ただし、例外がいくつかあります。重要なのは2つ。

まずは1つ目

⑴ 全区間営業キロが片道100キロメートルまでの区間に対する普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅。(中略)

上の例でいう、A駅-C駅間の距離が短すぎたらあかんよってことです。

 

次に2つ目

⑵ 次に掲げる区間(以下「大都市近郊区間」という。)内の駅相互発着の普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅

(中略)

ロ 大阪附近にあつては、東海道本線米原・神戸間(第16条の2の規定にかかわらず、東海道本線(新幹線)新大阪・新神戸間を除く。)、山陽本線中神戸・相生間(第16条の2の規定にかかわらず、山陽本線(新幹線)新神戸西明石間を除く。)及び兵庫・和田岬間、(中略)、阪和線及び関西空港線(以下これらの区間を「大阪近郊区間」という。)

(以下略)

「大都市近郊区間」という定められた区間内で完結する乗車券じゃ途中下車できひんでってことです。

大都市近郊区間は文章だとわかりにくいですが、ちゃんと図があります。大阪近辺だとこのへんです。

大阪近郊区間

 

つまり、途中下車ができない基本条件は

どちらかを満たす場合ということになります。

 

例えば京都→和歌山の乗車券で途中下車はできません。営業キロは114.8kmですが、大都市近郊区間内で完結しています。

京都→関ヶ原の乗車券も途中下車できません。大都市近郊区間外(米原関ヶ原)を含みますが、営業キロが89.8kmだからです。

 

京都→名古屋なら途中下車が可能です。営業キロは147.6kmで、大都市近郊区間内で完結していません。

乗車券の経路上に大都市近郊区間外の区間が入っていれば、2つ目の条件を満たします。

 

2. 大阪近郊区間と新幹線

第156条の、大阪近郊区間の定義をしっかり見てみましょう。

ロ 大阪附近にあつては、東海道本線米原・神戸間(第16条の2の規定にかかわらず、東海道本線(新幹線)新大阪・新神戸間を除く。)、山陽本線中神戸・相生間(第16条の2の規定にかかわらず、山陽本線(新幹線)新神戸西明石間を除く。)及び兵庫・和田岬間、(中略)、阪和線及び関西空港線(以下これらの区間を「大阪近郊区間」という。)

新幹線に注目すると、大阪近郊区間に含まれるのは、「米原-新大阪」「西明石-相生」の2区間であることがわかります。逆にいえば、山陽新幹線の「新大阪-西明石」は大都市近郊区間であるということです。

ちなみに「第16条の2」はいわゆる幹在同一視の条項です。新幹線と在来線は同一視するよ(例外あり)っていうことが書かれています。

ここでは同一視せず、新幹線だけ大都市近郊区間外であるといっています。

 

つまり、西明石~新大阪を通る大阪近郊区間で完結する乗車券は、西明石~新大阪を新幹線経由にすれば途中下車可能となるということになります。

岡山から来る場合とかならそもそも途中下車可能ですが、播州赤穂や上郡、姫路あたりから出発する場合は本来大阪近郊区間内完結なので途中下車できません。この手法を使えば途中下車可能にできます。

 

でも新幹線経由にするってことは、特急券を買って新幹線に乗らなきゃいけないってこと?

 

いいえ。

 

3. 選択乗車

(選択乗車)
第157条 旅客は、次の各号に掲げる各駅相互間(略図中の=線区間以遠の駅と―線区間以遠の駅(中略))を、普通乗車券(中略)によつて旅行する場合は、その所持する乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、各号の末尾に記載した同一かつこ内の区間又は経路のいずれか一方を選択して乗車することができる。

(中略)

(30) 新大阪以遠(東淀川又は南吹田方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(新大阪・三ノ宮又は神戸間、新大阪・新神戸間)(西明石・神戸又は三ノ宮間、西明石新神戸間) 

(以下略)

横にあった図

つまり、西明石以西-新大阪以東を移動する場合は、乗車券の経路が新幹線・在来線のどっちかに関係なく、どっちを使っても良いということです。

 

4. 結論と注意点

  • 大阪近郊区間内で完結する片道101キロ以上の乗車券のうち、西明石-新大阪間を経路に含むものについて、
  • 西明石-新大阪間を新幹線経由にすることで途中下車可能になる。(∵第156条)
  • その場合でも該当区間在来線に乗ってもOK(∵第157条)

※そもそも幹在同一視の原則があるので、根拠を第157条ではなく第16条の2にしても良いと思います(たぶん)が、せっかく明記してくれているのでありがたく根拠にさせていただきましょう。間違ってたらスマン

 

たとえば、姫路→京都(130.7km)とかで利用できます。

全部在来線経由
途中下車前途無効・有効日数1日で¥2310

西明石-新大阪新幹線経由
途中下車可能・有効日数2日で¥2310

 

ただし注意点があります。

 

乗車券が大都市近郊区間から外れることで、大都市近郊区間内での別経路乗車――いわゆる大回り乗車――をすることは不可能になります。

つまり、たとえそこが大阪の路線網であったとしても、絶対に経路通りに乗車しないといけないということです。

 

(選択乗車)

第157条

(中略)

2

大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券(中略)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択
して乗車することができる。 

(以下略)

 

第157条2項が大回り乗車ができる根拠ですが、今回の手法で発券した乗車券はそもそも大都市近郊区間内相互発着でないため、この選択乗車はできません。

 

これが一番厄介なのは、(西明石以西の大阪近郊区間内の駅)→大阪→天王寺関空/和歌山/奈良etc...というルートで旅行したい場合です。

 

今回の手法では(選択乗車で在来線経由にしても)大阪駅で乗り換えずに新大阪まで行ったほうがいいです。

もしも西明石-大阪間の在来線駅と新神戸駅で途中下車をしてしまった場合、大阪駅環状線に乗り換えると不正乗車になります。

例の区間で途中下車をしてしまった場合、第157条1項(29)の選択乗車の条件を満たせず、大阪駅大阪環状線に乗り換えた時点で不正乗車となります。

ただし、新大阪まで行ってしまえば、第157条1項(30)に従うこととなり、問題ありません。

 

西明石-大阪間の在来線駅と新神戸駅で途中下車した時点で、(30)に従って旅行しているという意思表示になります。
(30)では大阪駅での環状線乗り換えが許されていない(途中下車はもちろんOK)ため、不正乗車となります。
例の区間で途中下車しなかった場合は、(29)に従うのか(30)に従うのか決めれるので、(29)に従って大阪駅で乗り換えても問題ないと思います。

 

ややこしい。ややこしいので、新大阪まで行くのを推奨します。

そのため、本来大阪駅環状線に乗り換えて天王寺やその先に行く場合は、新大阪(おおさか東線)鴫野(学研都市線)京橋(環状線)天王寺と経由するか、新大阪(おおさか東線)久宝寺(大和路線)天王寺と経由するのが良いです。

ちなみに前者の場合は鴫野で乗り換えないとダメです。放出まで行って学研都市線に乗ると鴫野-放出間を2回乗ることになります。(Farertだと何故か放出で折り返すルートができちゃいますがが不具合だと思う)

 

実際にやったことあります
実家の最寄りがバレちゃうので隠し

途中下車可能

 

むずかしいね!

最後の方正直あってる自信ないけど、新大阪まで行けば絶対大丈夫だから!

キミも旅客営業規則の世界へ是非(?)